海の向こうに浮かぶ街並みが、ゆらゆらと不思議な形に変化する。海辺に建つ民家が伸びたり裏返ったり複雑な表情を見せる。冷たい空気の層と暖かい空気の層ができやすい富山湾の名物「蜃気楼」だ。 北陸新幹線開業でにきわう富山県は、3000メートル級の山々がそびえ、日本海に突き出た能登半島が海を包みこむように富山湾をつくる。 富山湾は、目に映る風景が不思議な形に変化する蜃気楼が見られる神秘の海としても知られている。 県東部の魚津市の海沿いの「しんきろうロード」を通り、魚津港を訪れた。蜃気楼の出現は気象条件に左右される。たくさんの見学客とともにレンズを構えてひたすら待つしかない。待つこと6日、風景が上に伸びる春型の蜃気楼には出会えなかったが、対岸にある住宅街が下に伸びる冬型の蜃気楼で、ビルが建ち並ぶ海上都市のように見える。まわりからは「風景のびてるね!」と声があがった。 夜明け前に、県西部の雨晴海岸(高岡市)に向かった。水平線が赤みを増して、太陽が顔を出す。ゆらゆらと姿を変える「だるま太陽」が富山湾を彩った。
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